Vol.4 EAST-11~Episode 18~

納沙布岬に着くと多くの観光者たちがいてようやく僕の周りにうろついていたダークオーラは消えた。
みやげもの屋にはいると定員の女の子がかわいかった。
そしてその子はもう一人の定員の男と仲良くしゃべっていた。

「くっそ~俺もここでバイトしてぇ~」

と思ったが、まあいいかそんなことは。
僕は買い物を済ませると最東端の木碑?で写真を撮った。
僕の親父くらいの歳の夫婦が僕に
「写真撮ってあげるよ」
といってくれたのでその木碑と一緒に撮ってもらった。
(僕の映ってる部分は切り取って載せてるけど。)

そしてその木碑の少しだけ離れたところにドデカいモニュメントがあった。

「こんなデカくて、しかもこの形は何を意味してるのだ」

そこでは北方領土返還に署名すると貰えるというカードがあったので、それに署名した。
カードといっても単なる紙切れやけど。
それには日本では北海道のごく東の地にまれにしか飛来しないという珍鳥エトピリカが描かれており
「日本最東端視察証明書」と書いてあった。(証明してどーすんねん)
まあ、大したものではないのだけど。
そういやその珍鳥エトピリカ。僕は鳥好きなので興味あってさっきもみやげもの屋でそのエトピロカバッヂを買ったとこなんだけど、たとえ飛来してきたとしても今日のこの天気の悪さでは見ることは困難だ。
珍鳥どころか普通なら肉眼でさえ確認できるはずの北方4島のうちの国後島がその霧のせいで記念館の二階にある望遠鏡を使っても見えないとは。
まあ残念だが仕方ない。


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その「最東端視察」を済ませた僕はキャンプ場に向かうため、再び20kmくらい走って根室市街地の方まで戻らなければならなかった。

僕は自転車を出す準備をしているとさっきの巨大なモニュメントの前で一人のチャリダーと出会った。
その人はそこで日の出が見たいがためにそこに連泊してるらしい。
なぜかというと日本最東端で見る日の出はその日、日本で一番最初に見える日の出だからとか。
そうだ!思い出した!だからあのモニュメントはあんな形をしてるのだ。あのアーチの間から日の出が見えるように。(多分)

チャリダーやライダーはこういったくだらんこと(その人にはごめんなさい)にこだわって旅してる人が多い。

僕にもそういう面はあるから気持ちは分かるけどそこまでする余裕はなかった。
ついでにその人に北海道3バカユースについて聞いてみるとその人は礼文島の桃岩荘にはハマってしまって10日以上泊まったとか。

「やはりこの人はそこまでする人やねんな」と思った。

僕はそのチャリダーと別れそろそろ出発しようとしたときその前にあったラーメン屋のおっちゃんが話しかけてきた。

「ウチに泊まらんか?テレビと暖房付きで千円だよ」

「夏やのに暖房?」
と思ったがこの地では夏でも寒いらしい。僕は今日、一応この最東端に来たあと根室市まで戻る予定だったので少し迷った。

Vol.4 EAST-11 Episode 18