Vol.4 EAST-05~Episode 16~

その人は京都の大学に通う僕より一つ上の学生だった。
荷物を見ると僕がライダーNにもらったのと同じ黄色のホクレンの旗が荷物と一緒に縛られていた。

「この人も俺と同じことをしてるのか・・・。」
と思った。

僕は彼女に写真だけ撮らせてもらうとその人と別れた。

しばらく走って僕は釧路に着いた。

釧路駅近くにある幣舞橋(ぬさまいばし)には、美川憲一の歌である「幣舞橋」という曲が絶え間無なく流れていた。

「やはりここもそのままか・・・」と僕はとりあえず写真を撮った。

だが僕はこの幣舞橋を写真に収めたくてシャッターを押したのではなかった。

写真をよく見て頂きたい。


橋のサイドに立つ像、その頭の上には一羽のカモメが乗ってるではないか。

エラそうに頭に乗り図に乗ってるカモメは僕が近づいても逃げなかった。

どうやらその像はカモメがとまる場所として完全に定着してるようだった。
それを証拠にその像の頭にはカモメの糞が大量に流れてた。
しかもその範囲は広く、像の肩までもウンコ色に染められていた。

全身カモメの糞に埋もれてしまいそうなかわいそうな像。
カモメに乗られて糞にまみれてそれでもまだ遠くを見つめて微笑んでる。
なんて健気なんだろう、この像は・・・(笑)。


<広告>


ユースホステルでチェックインを済ませると、僕はたまった洗濯物を持ってコインランドリーを探しに出かけた。

人に聞くのも面倒だったので公衆電話ボックスにおいてあるタウンページを手にとり一番近くにあるコインランドリーを見つけてそこに行くことにした。

小さな部屋で洗濯機が数代置いてあった。
ちょうどそこに洗濯の仕上がり待ちの2人組みの女の子チャリダーがいたので「あ、ラッキー!」と思って話しかけに行った。

その人たちは大学のサークルに入っていて、そのサークル内でいくつかのチームに分かれてそれぞれが別の方法でこの北海道を回るをいった旅の形式をとっているようだ。

僕は久々に女の子と喋れたのが嬉しくて、少しでも長く喋ろうと、ついつい粘って話が途切れない様に頑張った。

ちょうどそこにいたオッチャンが「明日ここで花火がある」という事を教えてくれたが、明日の晩はすでに僕はここにいない予定なので残念だったがその花火を諦めた。

ユースに戻ると食事の時間になった。

今日は予約したのが早かったし夕方までに余裕でここに到着できることを確信していたので夕飯の予約をとることができた。

「そういえばユースで夕飯を取るのは初めてかな」と僕は食卓に入った。

食事の用意をしていたオネーサンがめっちゃカワイかった。
僕は「さっきの受付の時いた男の人と随分違うな~」と思い。そのオネーサンを見てた。
どうやらその人はバイトのようだ。受付のオッチャン以外に2人のバイトがいてもう一人は大人しそうな男だった。

「いいな~あんな子と2人一緒に仕事できて・・・」と、うらやましい限りの僕だった。

同じ食卓に座った人の中でもたくさんの人と話をした。
その中ではたまたま関西人が僕だけだったので、僕はその人たちに関西弁についての質問をされた。

僕より少し年上の人は関西人ではなかったが関西弁の「なんでやねん!」というツッコミをマスターしていた。
しかし僕とその人はその食後、風呂場でも語り合っていたが、
僕のボケに対してただ「なんでやねん!」というツッコミしか返してくれないのが僕にとってはちょっと残念だった。

Vol.4 EAST-05 Episode 16