Vol.4 EAST-03~Episode 15~

摩周湖の展望台から山を下って行くころは日が完全に落ちて、真っ暗になっていた。

しかも霧のためさらに視界は悪く、数メートル先でさえ全く何もみえない景色が続いた。

僕はこのとんでもなく静かで真っ暗な道を、時々来る車のライトを見ては少し安心し、わずかに見える道路のセンターラインの白をたよりに進んだ。

そう。度重なる夜間走行のせいで僕の自転車のライトの電池はすでに切れていたのだ。

時々来る車の光が無い時は、白く塗られた道路のセンターラインがわずかに見える以外は何も見えなかった。

恐怖の中僕はようやく山を降りた。

あとはキャンプ場に戻るだけだがその距離も決して短くはなかった。

さすがに山ではないだけにさっきのような真っ暗な道ではなかったので恐怖心は去っていたが体は疲労していた。

走りつづけると僕はある灯りを見つけた。

それはその町で行われていた小さな祭りだった。

それを見た僕は急にほっとした。

「ああ、人がたくさんいる・・・。」

別にその人達と言葉を交わすわけでもなかったが、僕はなんとなくその場所を離れたくなかった。

僕はしばらくの間、その祭りで踊る人たちを、ただぼんやりと眺めていた。

その暖かい雰囲気に、まるで恋をしてしまったかのように僕はただぼんやりと眺めていた。

その場を離れるのが辛くはあったが、僕はまたゆっくりと自転車に跨った。


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キャンプ場に戻った僕は、そこから歩いてすぐのところにある和琴温泉に行くことにした。
その辺りの人に聞いたところ、その温泉は無料で自由に入ることができるらしいので時間制限は気にする心配はなかった。
少し夜遅くなったが僕はその温泉についた、

が・・・そこは「なんじゃこりゃ~!!ここに入るのかよ!!いや、ここで脱ぐのか!?」

と思うような温泉だった。
その温泉は露天風呂になっていて男女混浴だが、それは温泉というより「池ではないのか?」と思うほどだったのだ。

脱衣場も簡単な屋根と囲いがあるだけだった。

しかし、僕はどうしても体を洗いたかったので勇気を持ってそこに入った。
もっとも、他に入っている人が何人かいたからできたことだが・・・・。

それでも僕はその周りから丸見えの360°逆パノラマにはためらった。

早いめに湯から出ると脱衣所で即行服を着た。
ちょうどその時隣にいた僕と同い年くらいの二人の兄ちゃんが話していた。

「これ、夜で真っ暗だからそんなに気にならないけど、もし昼間のうちにここを見てたら多分入る気にはならなかっただろうな・・・」

その人達も僕と同じことを感じていたようだ。

僕はキャンプ場にもどり、一晩明けた翌日、昨日のその露天風呂がどんなものなのかもう一度行って、見てみた。

やはりその通りだった。

「俺は昨日こんなところに素っ裸で入ってたのか・・・・。」

Vol.4 EAST-03 Episode 15