Vol.4 EAST-10~Episode 18~

・・・ショボい!!
しかもそこにあったマジックで書かれた二つの張り紙を見るとやはり見学できないという内容と、もう1つには

「ムツゴロウデザインのオリジナルグッズをゲート前のログハウスで販売しています。
お土産にいかがですか?」
と書いていた。

「見学させへんのに商売だけはしようってのか?」

と、思ったがそれでも一応思い出となるので結局僕はそのログハウスでそのムツゴロウデザインの猫の描かれたキーホルダーを買った。

さてと、一応朝の目的を果たした僕は今日の最終目的地を目指すべく、また東へと向かった。
根室市に向けて走る僕だったが、そこに近づくにつれてしだいに僕のテンションは落ちていった。

それは雨さえふっていなかったが天気はすぐれず、どうもその道にはイヤな空気が漂っていたからだ。
僕はなんとか根室に入った。
が、市内に入っているにもかかわらず、人の住んでる気配はなく、だだっ広い道が続いている。
しかもその辺りはごみ捨て場だったのか知らないが悪臭が漂っていて何十羽のもカラスが不気味に鳴いている。

僕は気分が悪くなった。


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昨日はそんな道でさえ感動的に思えたのに同じ道でも昨日とは対照的に見えた。
その不気味なカラスや悪臭はまるでホラー映画に出てくるような死刑場を思わせた。

「ここは一体どこなんや」と思った。

なんとかはやくその場から抜け出したかったが、行けども行けども同じ風景が続く。

そしてようやく入った根室市街地。
しかし、民家はあるものの、ここにもさっきのようなドヨドヨとした空気が漂っていた。

僕はそこからさらに20km先にある日本最東端の場所に足を向けた。

依然その空気が漂う中、僕は数キロ走った・・・・。が、

たどり着いたところがなぜかまたさっきと同じ道。
いつのまにかまた根室市に戻っている。

「ウソやろ?」

焦って地図を確かめるがどうも間違っているとは思えない。
魔空空間にでも引きずりこまれたか。

その後僕はまるで何かに弄ばれるかのように同じ道を2~3回ほど回っていた。

「どうやったらこの根室市から抜けれるんだ?」
と半泣きになりそうになったがとりあえず公園で一休みすることにした。

その後気分を変えて走り出した僕はやっと出口らしき道を発見した。
僕はようやく根室市街地を抜けた。

だがまださっきまでの暗い空気は消えていない。
また民家が消えて目の前には草原と道しかない。
そして右には海があるだけ。
しかもさらに不気味なことにはその道には等身大で恐ろしい顔をした男の絵の看板が時々現れるのだ。

「なんやねん今日は。やめてくれよ、もう。」

その絵のオッサンはどうやらロシア人を描いたものらしく、その看板には「北方領土を返せ!」とか「ロシア人に島を渡すな!」とか書かれていた。

「北方領土の問題は分かるけど、なにもそこまでコワく描くなよ!」

最東端の地に着くまで不気味な影は消えることはなかった。

Vol.4 EAST-10 Episode 18