第18話
「日本最東端」
8月18日。
今日は昨日の快晴と違って曇りの冴えない天気だった。
風の霧多布岬て浜中湾沿いに走り僕はさらに東へ向かった。
今日はその東の果てが目的地だ。
「7/27に函館に上陸して随分遠回りした俺もついに今日、日本最東端である納沙布岬に到着するんだな。」
と少しの期待に胸を弾ませていた。
とりあえず今日朝の予定は霧多布岬から10キロほど進んだ所にあるムツゴロウ王国を尋ねてみることにした。
しかしそのムツゴロウ王国、デカデカと載っている地図に「見学不可」とある。
「ケチやな~視聴率は欲しくても来客はお断りかよ」と思った。
(失礼な表現をしてすみません(^-^;)
ムツゴロウ王国まであと3キロ程度という距離に近づいた時。
そこから坂道が始まった。
ちょっとした山に入るみたいだ。
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しかし僕にはもはやそんな地図にも載らないような山など平気だった。
坂での自転車のこぎ方をほぼ完全にマスターしていた僕はその程度の坂は平地と同じように悠々と走っていた。
(ちなみに坂道でのこぎ方とはつま先に力を入れ、ハンドルを両手で胸に引きつけるような感じで登るライディングテクニック。もちろんそれは座ったままのスタイルで行う。坂道で立ってこぐのは安定してないためかえって疲れやすい。そのスタイルでは長時間登り続けることはできない。平地でも当然つま先でこぐということは基本である。大抵初心者やサイクリングテクニックを知らない人はかかとにペダルを当ててこぐがこれはかなり無駄な動きをするためそのスタイルで熟練したサイクリストと同じペースで走り続けることはまず不可能。特に坂道では。)
すると前方に女性2人のチャリダーが息を切らしながらゆっくりと登っているのが見えた。
よく見ると一人は僕と同じくらいの歳かそれよりもう少しお姉さんで、もう一人はもうちょっと年輩のおばさんだった。(こんなこと言ったら怒られそう)
僕は釧路ユース以来昨日のハダカ男(失礼。)以外ほとんど誰とも話をしていなかったのでそのお姉さん達に声をかけにいった。
「こんにちは。ムツゴロウ王国ってこの先ですよね」
といったもののその人達はまだチャリに慣れていないのか登るのにやっとのような感じだった。
そして苦しそうな表情で答えてくれた。
彼女らはムツゴロウ王国のことを知らないらしい。(あと3キロってところやのに)
僕はさらにその坂道で自転車をこぎながらハンドル上に地図を開きその人たちに見せムツゴロウ王国の場所を教えたた。
でもそれはまるで「俺はこの程度の坂ならこんな余裕なことができるねんぞ」と言わんばかりの嫌がらせをしてるように取られたかもしれない。(まあ実際半分はそうだったかも)
その人達は一応話は聞いてくれたがとにかくしんどそうであまり相手にしてくれなかったので僕は先に行った。
そして僕はムツゴロウ王国の前に到着したが・・・。