第6話 勇敢なる女性チャリダー-3

食べながら僕は

「何や?カナブンか?」と思ってそっちの方を見ると、なんと巨大なスズメバチがもう目の前の距離まで近づいているのが見えた。

「うわ!!」と、あわてて避けた僕だがその勢いでカップラーメンの汁を膝にこぼしてしまった。(しかもカレーヌードル)

「あはは。」とその少年たちの笑い声がした。僕のその行動をみていたらしい。
「笑っちゃいけね~」といいつつ大ウケしていた。

こぼした汁には困ったが、そのスズメバチがもとで、彼らと話をするキッカケができた。
話をしてみると彼らは、地元のごく純粋な少年たちだった。

僕はその子らに道を教えてもらって、再び走りだした。

 国道を走っていると、二人のライダーがすれ違いざまに2人そろってヤングマンの「YMCA」の「M」のポーズをとっていた。
 さすがに僕はそのポーズで返すことはできなかったので手を振りかえした。

支笏湖のポロピナイという場所に着いた時、今日がやたら寒い日であることに気付いた。その辺りは霧に覆われていて、夏だというのに、半袖では寒いほどだった。

僕は少し体を温めようと、そこにある自販機の側まで行った。
しかし、そこの自販機のホットの飲み物はすべて売り切れていた。

「チッ、みんな考えることは同じか・・。」

すると、ちょうどそのすぐ近くにライダーのニーチャンがいたから僕はその人に話かけにいった。

その人も関西(滋賀県)出身だった。
僕らは「それにしても寒いですね」という話をしていた。僕がここ北海道に上陸してから、まだまともに晴れた日はあまりなかった。
でもその人の話によると、もっと北のほうならバイクの人でもTシャツ一枚で走っているらしいということだった。
とにかく天気が悪い日が多いのはあまり嬉しくはなかった。

僕はその人と別れると、そのすぐ近くにあるキャンプ場まで走った。

 しかし、そこのキャンプ場には人はあまりいなくて、多くのカラスが不気味に鳴いていた。

なんかちょっと嫌な雰囲気がするな~と思った。
「そう言えば、ここ支笏湖にもオカルト系の噂があるようなことを昨夜、言っていたよな。」去年僕より先に北海道に言った友人Nもそういう噂があることを知っていて、ここには泊まらなかったのだ。

まあ僕は支笏湖にそういう話があるのは知っていたけど、それが支笏湖のどこなのかは聞いてなかったので気にしてはなかった。それに場所を変えたいと思うほど嫌な雰囲気ではなかったのでとりあえずここに泊まろうと僕は受付まで行った。

だが、受付らしい場所は見当たらず、キャンプ場の端に粗末な机と椅子だけが用意置かれていてそこに二人のオジサンが座っていた。

「これって受付か?ますます怪しい雰囲気やな・・」と思いながらもそのオジサン達に

「あの~、ここに泊まりたいのですけど・・・。」と言うとオジサン達は

「え?泊まるのですか?・・いいですよ・・」と応えた。

この応対のしかたに僕はちょっと戸惑った。「え?泊まるのですか?」とは何だ??ここはキャンプ場やから泊まるのは当たり前やんけ!!と思った。

どういうことだろう?やはりあのオカルト説は本当なのだろうか・・・。

少し心配になったが、とりあえずテントを張った。

Vol.2 RUN-05 Episode 6