Vol.3 TOURIST-10~Episode 13~

道道726号を走ってると一人のチャリダーと出会ったので、その人に
「この辺に買い出しできるようなところはないか」ということを聞いてみた。

するとやはり山を下らないとないというのが分かった。

今日はテントはすでに張っているだけに、
一度この山を降りたらまた登ってこないといけないのが面倒なので、降りるということに少しためらったが、

「まあ、今日は時間がある」ということで降りてみることにした。

山を降りる途中、扇ヶ原展望台という場所に立寄った。


僕は今自分のいるこの場所がこんなに高い場所だったということに驚いた。
三国峠を越えてほとんど山を下ったと思っていたがそれはまだ山の半分も下りきってなかったのだ。
それを証拠にこの展望台の近くにはこの山の標高が表示されていた。

「白樺峠 910m」

「910mって・・・。いったん降りるとこれをまた登ってこないといけないのか・・・。やれやれ。」

僕は覚悟を決めてこの山を下っていった。山の下のほうはさすがに霧も晴れていた。

その山を下りきって少し走った所で、僕はさっきのチャリダーに教えてもらったコンビニのような店を見つけ、ひとまず安心し、買い物を済ませた。

そして僕が自転車に乗り、走りだしたその時!前方にあるものを発見した。

「あ!?あれは!!!」

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僕の見た物は、そう、

「Hな本の自販機」であった。

僕はこういうものを友達からもらうことはあっても、自ら買うなんてことはほとんどなかったのだ。(コンビニで売ってたとしても店員がオネーサンとかだったとしたら絶対買えないし^^;)

僕は周りに人がいないのを入念にチェックした。

緊張感に包まれた空気の中、ついに僕は動いた!!

「今だ!チャンス!今度こそ昨日の混浴の雪辱を果してやる!!」

と僕はその自販機にお金をいれた。

だがそのお金はおつりの返却口がら出てきた。

「くっそ~!こんな時に・・」と、僕はもう一度兆戦した。

やはりまたそのお金は返却された。自販機が反応しない。夜しか買えない訳でもなさそうだし、きっと発売を中止していたのだろう。

僕はまたしても敗北感を味わった。

「ふん!この決着はいずれつけてやるわ!」

と僕は自転車という馬にまたがり、その地を去った。

行きしな降りてきた山を登るのはやはりキツかった。荷物がない分楽だったがそれでもやはりキツかった。

キャンプ場に戻った時はもう暗くなりかけていた。

今日は唯一楽できるように日程を組んでいたのに結局今日の走行距離もいつも走っているのと同じくらいの距離になった。

昨日今日と、不本意な結果に終わった僕はまた今夜も納得のいかないままテントの中の寝床についたのだった。

Vol.3 TOURIST-10 Episode 13