その後走っていると、後ろから数人のライダーたちが僕を見て挨拶をしてきた。
僕は軽く手を振り返したが、向こうはまるで僕を確認するかのようにのぞきこんで手を振っていた。
僕は「何だ?」と思ったが、その時は何も思い出すことなく先を急いだ。
夕方少し前くらいになって目的地のキャンプ場に到着した。
その日の僕は熊出没に対してかなり敏感になっていたのでキャンプ場に泊まるのは少しコワかったが、そのキャンプ場にはたくさんのテントが張られていたのでなんとなく安心した。
受付を済ませて炊事場に行くと
「あ、やっぱり!」
と、ちょっと年上のお姉さんとお兄さんに話しかけられた。
「さっき走ってるときも会ったよね、何日か前に富良野の鳥沼キャンプ場で一緒にスイカをたべた…。」
その言葉でやっと僕は思い出した。
「ああ、あの時の…、お久しぶりです。」
一度別れた人にもう一度会えるなんて思ってもなかったので嬉しかった。
(TOURISTの章で出てきた人たちです。分からない人はここ←を見てね。)
その人たちと少し話したあと、僕はそのすぐ近くにある温泉に行くために歩いて出かけた。
日が沈むころ、僕は浜辺に寄った。
夕日が切ない色を作っていた。
僕はなんとなく今頃友達や家族のみんなはどうしてるのだろうと考えた。
しばらくその場でたそがれていた僕はその後温泉に入り、次にみやげ物などの買い物をした。
アイヌ民族のデザインが目をひいたので、見ていると「それお母さんなんかにプレゼントするといいよ」といってそれを加工してネックレスにしてくれたので買うことにした。
その夜は地元にいる友達や家族などいろんなことを思い出して少しさびしい夜だったが、熊に襲われることもなくゆっくりと眠ることができた。