Vol.6 SKY-01~Episode 23~



第23話
「伝説のユース」

8月25日、稚内森林公園キャンプ場で目覚めた僕は、軽い朝食を終えると、早速出発の準備をした。

利尻・礼文島行きのフェリーターミナルまで行って桃岩のユースに電話をして今夜の宿予約を取った。
予約がいっぱいでないか心配だったが、無事に取ることができたのでいざ出発だ!
僕はフェリーが来るのを待った。

北海道に来て初めて乗るフェリーにワクワクした。

動き出す船。
ここから礼文島までは約2時間20分。
稚内とはしばしのお別れだ。
全然関係ない人の頭が入っちゃいました。

船に乗ってる間、暇になったので周りにいる人と会話をした。
一人はバリバリのライダースーツを着た男の人、
もう一人は僕より一つ年上の女の人、そしてさらに年上で教師の女の人。
僕らは、少しの間ではあったが楽しく会話した。

最初に3バカユースについての話をしたが、その女性二人はとんでもない大騒ぎをするユースという噂を聞いてるだけに、泊まるのはちょっとコワいらしく、礼文島にあるもう一つの方のユースに泊まるようだった。
それから食べ物についての話もした。


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なんでも、バリバリライダースーツの男の人は、せっかく北海道に来たのだし、ソフトクリームを食べたいところなのだけど、どうも男一人で、しかも、そんなバリバリのライダースーツ着たまま食べるのは恥ずかしいとのことだった。
「ああ、それ僕もですよ」
と、僕もそれに同意した。
確かに今まで走って来た道に「ソフトクリームあります」という店に目はむけるものの、どうも買ってそれを食べる勇気がなかった。
冗談で、その人に、
「一緒に食べましょうよ」
と、言われたが、男二人でソフトクリームってのもな~と、思った。

そんな話をしてる間に時間が過ぎて礼文島が見えてきた。

僕らはその人達と一緒に記念撮影をしたら、今夜泊まるユースの出迎えを探した。
噂によると出迎えからド派手らしいのだが…。
と、僕は甲板から港を見た。
すると…

旗を振って大声で何かを叫んでる人が何人かいる。

「なんじゃありゃ~」

と、思ったが、どうやらその人達が今日宿泊するユースのスタッフらしい。

僕は、さっきまで一緒にいた人たちに別れを告げると、船を下りてると恐る恐るそのユースのスタッフさん達に近づいた。

その場で受付的な手続きを済ますと、僕はまず礼文島の最北端の地、スコトン岬へ行きたかったため、宿に行くより先に北へ向かおうとした。
すると、同じ船に乗ってたであろう人、今度はライダーではなくチャリダーがやってきて、その人も僕と同じように桃岩ユースへ泊まるらしく、受付を済ませ、宿へ行く前にスコトン岬へ行こうとしていたので僕はその人に

「これからスコトン岬へ行くのですか?よかったら一緒に行きませんか?」

と誘ってみた。その人は快くうなずいてくれた。
そして僕は初対面の人と一緒に走ることになった。
話をしてみると、その人は僕と同い年の大学生でちょっとおとなしい感じの人だった。
ユースのスタッフさん達はそのまますぐに宿へ行かない僕らに

「荷物だけお預かりしましょうか。」

と行ってくれたが、僕はなんとなくこの荷物のままでこの島最北端の地へ行きたかったので、お断りした。
一緒に走る人そのチャリダーさんはスタッフさんに荷物を預けて軽装になっていた。
スタッフさんの車がユースへ向かうと僕らは

「じゃあ、行きましょうか」

と、走りだした。

快晴の真夏の空の下、僕は初対面の人と一緒に走るのは生まれて初めてのことで、
その時間はすべてが新鮮で、とても不思議な気分だった。

Vol.6 SKY-01 Episode 23