Vol.6 SKY-06~Episode 24~

桃岩で大きな思い出を持って僕は利尻一週をスタートした。
自転車に乗るのはまる一日ぶりのこと。

島の一周は約53km軽装だし楽勝だ。



しばらく同じような景色の続く中、僕は走り続けた。
走り始めて、島のちょうど半分くらいの距離を走った場所に沼浦展望台という場所があったのでそこで一休みした。

「そういや昨夜一緒に話をした2つ上のお姉さんは桃岩に来る前に姉妹でこの利尻島をレンタル自転車で一周したとか言ってたな。」

僕はそのことをふと思い出した。

「あの人もこの景色を見たのだろうか…。」

僕は無意識のうちにそんなことを考えていた。




↑人は剥製ではありません(笑)

その後、ようやく島の一周を走りきったとき、日はすでに海に沈もうとしていた。

僕は昼間に来たペシ岬に再びやってきた。
やはりその形は桃岩を思い出さずにはいられない。
僕はまた少し寂しい気持ちになり、その岬を上ってみた。

するとそこには1組の親子がいて、お父さんが双眼鏡でなにやら遠くを見ていた。

桃岩を思い出した僕は哀愁に満ちた気持ちでその親子の会話を聞いていた。

「この双眼鏡、よく見えるな~。こんなところまで見えていいのかな。」

という父親に対して

「どれ?見せて」

という子供。
僕はそんな会話を聞きながら、
「親子で楽しそうだな」と思っていた。

さらに父親は

「こんなところまで見えていいのかな、だって女風呂が丸見えだよ。
いいのかな~、こんなに見えちゃって」

と言う、
思わず僕は「ピクッ」と反応しそうになった。

「マジかよ。」
「僕にも見せてください」


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と言いたかったが、ちょっとそれは恥ずかしい。
僕もオペラグラスは持っていたが、今取り出して見るのは怪しい。

「明日また見に来ようか」

と、思ったが、明日のこの時間にここに来ないといけない。
その父親は子供をからかうために言ってるのか、もしくは本当に見えていたのかがすんげ~気になった。

まあそんな感じで僕の哀愁タイムは終わり、キャンプ場に戻った。

辺りはすっかり暗くなった。
僕は炊事場で用事を済ませ、寝る準備をしようと自分のテントに戻ろうとした時、僕のテントから少し離れた場所から声が聞こえてきた。

「いや~それでね~
その後恥ずかしくて前が見れないのですよ。
だからずっと海ばかり見ていてね~
俺は海が好きなのさという感じで(笑)」

という内容だった。
しかもその声には聞き覚えがある。
(しかも船の上でも僕らと同じ気持ちになったっというエピソードではないか。)

僕はその話をしている人が誰だか分かった。
桃岩荘で共に8時間歩いたメンバーの一人、カメラマン役で緑の服を着ていた(ので自分をピーターパンと呼んでくださいとかぬかしてた人だ。ピーターパンさんの時船に乗ってた桃岩壮宿泊者は一人だけだったらしい。一人だけのためにも桃岩壮は盛大な見送りをしてくれたことに感動したとう話だった。)

僕はその話し声の聞こえる方に言って挨拶をしようかと思ったが、昨日はその人とはぶっちゃけあまり話しをしていなかったし、疲れてたのでそのまま自分のテントに戻った。(冷たい人間かな?僕は)

「さあ明日は早起きして利尻島登山だ。
晴れたらいいのだけどな。」

寝床についた。

Vol.6 SKY-06 Episode 24