第9話  幻の蝶々貝

「すいません。このへんにキャンプ場はありますか?」と尋ねてきた。

「僕も探してたんですよ。百人浜のキャンプ場ってのがあるみたいなんですけど、そこには霊がでるという噂があるみたいなので僕はユースに泊まろうかと思ってるんですよ。」

と僕が言うとその女の人はその例の「霊の噂」を恐がって、僕と同じように、ユースに泊まろうかと考えていた。そしてユースに泊まることにしたらしく

「そのユースってどこにあるのですか?」と聞いてきたので僕は彼女をそのユースまで案内することにした。そして僕も今日はユースに泊まろうと決めた。もっとも、そのユースに空き部屋があればの話だが。

移動する時、海の上に光っている夕日を指して、僕はその人に

「あれって蜃気楼ですか?」と聞いてみた。
「さあ?でもなんだか綺麗ですね」
と彼女は答えた。
 えりもユースに着くと、とりあえずチェックインするために受付まで行った。僕とその女の人が一緒に入ってきたから受付のオネーサンに「ご一緒ですか?」と尋ねられた。

それを聞いて僕が答えるよりも先に彼女はあわてて「いえいえ、違います。」と答えていた。(どっちにしてもユースではたとえカップルでも男女が同じ部屋で宿泊はできないんだけどね。)

彼女はどうやら僕より年下みたいだった。(受付の時に書く内容の生年月日のところを勝手に見ちゃいました。)


部屋に入るとライダーの人が二人いた。
僕はその人たちと話が合い、ちょっとすぐそばの店に買いだしに行った。
その間、このえりもユースの情報を入手した。

このユースは「北海道3バカユース」のうちの一つで、夜になるとみんなで踊ったり歌ったりするイベントが毎日あるらしい。

「へ~おもしろそうやな。キャンプ場よりもこっちを選んで正解やったな。」

夕方に到着したため夕食を食べることはできなかったが僕はそのイベントには参加しようと、それが楽しみになった。
 夜になり、そのイベントが始まった。

ちょっと背が低く小太りおっちゃんがミーティグをはじめた。最初はこの辺りの観光案内のようなことを話していた。
けっこう笑いありの話で楽しかった。

その話の中には例の百人浜で出没する霊の話があった。あとは熊出没の話、そして僕の一番聞きたい内容の話、「蝶々貝」についての話になった。
僕はそのになると急に真剣に聞きだした。

やはり昔はその浜(百人浜)を歩いただけでいくつも拾うことができたらしい。しかし、最近ではそのユースのおっちゃんが2~3時間かけてようやく見つけれるほどその数は少なくなっているようだ。
そのおっちゃんが言うには「今では幻の蝶々貝になりつつある」とのこと。
その価値は貴重なようだ。

するとその話が終わった後に「その蝶々貝、ここで200円で販売しております。どうぞお買い求めください」と言っていた。
「なんじゃそりゃ~!そのために話をデカくしただけか!しかも200円て。ほんまに貴重なんかよ!」

まあ僕の欲しかった物がそんな値で手に入るのだからよかったが。

Vol.2 RUN-11 Episode 9