第4話 室蘭の旅人たち-1

第4話
「室蘭の旅人たち」

 今日泊まる予定の室蘭ユースホステルは、例の本では(何度も出てくるが^^;)北海道旅行最後の場所だったのだ。そして、そこでは晴れた日なら毎日恒例で夜景を見に行くというイベントがある。
僕も今日はぜひそのイベントに参加しよう。きっと新しい出会いがあるだろう。

最近ずっと山道ばかり走っていたので、人と話す機会がなかった。だから今日こそは誰か新しく出会う人と話がでもできたらいいな・・と僕は室蘭ユースに向かう道を走りながらそう思っていた。(ひそかにカワイイ女の子と出会えることを期待しながら・・・^^;)

その後、室蘭のユースホステルには夕方頃に着いた。宿泊の予約をしていなかったため、部屋に空きがあるか心配していたが、無事にチェックインできた。

夜景ツアーが始まるまでまだまだ時間があったので、まず僕はそのユースから約5kmほどの距離にある地球岬を見に行くことにした。さすが岬そのものなだけにかなりのアップダウンがあり、5kmでもそこそこ僕を苦しめた。ユースに荷物を置いてたのでさほど苦にはならなかったが。

 地球岬に到着すると、観光バスまで入れるほどの駐車場があり、客もたくさんいて、写真を撮るのに苦労した。
 もう夕方で薄暗くなっているにもかかわらず。

地球岬の展望台を登ると、あるカップルがそこにある幸福の鐘を二人で鳴らしていた。

それを見た僕は「こんな鐘に頼らなければ君達は幸福を得ることができないのか?へへ~ん」と心の中でぼやいた。(ねたみ^^;)

その後、周りに人がいなくなったのを確認してから僕はその鐘をこっそり鳴らした。

鐘を鳴らし終わった僕は、その後何事もなかったかのように、再び地球岬からの景観を眺めていた。

「なんていい眺めなんだろう・・・・」(強がり^^;)

さすがに地球岬と言われるだけあって、そこに立つと、海が一面に広がっていて、それは半球体を描き、地球が丸いということを確認できた。(しかし実際それが地球の半球ならかなり小さな地球になってしまうのだが。)

 地球岬の展望を済ますと暗くなりそうだったのでそろそろユースホステルに帰ることにした。
帰りもやはりアップダウンの道はつづいた。

僕は少し疲れてローペースになっていた。

連続する坂道に少し参りかけてた時、ふと、横の山の陰から一匹の歳老いたシベリアンハスキーがやってきた。
飼い犬にしては汚れているので、もともとは飼い犬だったが、野良犬化してしまったのかもしれない。(気まぐれで動物を飼ったのはいいが、その後可愛くなくなったらといって捨てるという人が最近多いらしいから)
その犬は僕のそばに来て甘えていた。

Vol.1 FIELD-10 Episode 3