第1話 光の訪問者-3

 北海道旅行を決意したのは高校2年生のときだった。その時は来年の高3には絶対に行こうと思っていた。しかし進学を希望していたので1ヶ月も旅行に行くなんてそんなことは親が許さなかった。
だったら大学へ行ってからか・・と思っていたが、残念ながら、その年は大学には受からなかった。 一年浪人することになった僕はさらに1年北海道旅行が延期になった。

 その浪人時代の夏の話・・・・

「どうしても北海道に行きたい」う気持ちを少しでも慰めるためにテント内で使うための道具、ランタン(照明用)とガスストーブ(加熱調理用)を購入して、部屋の中で一人、そのランタンを灯して喜んでいた。(当然部屋は真っ暗にして)

「すげ~!!こんなに明るいのか!!」

 今までの旅では懐中電灯程度の明るさしかなかったライトだったので、その明るさに感動した。アホなことにそれを自慢しようした僕は、バイクで旅する趣味を持つ友達Nに電話した。
「ZEROですけど、N君いますか?」Nの兄にそう尋ねた。すると
「Nはな~昨日から北海道に行ったから1ヶ月は帰ってこーへんわ。」
それを聞いた僕の体は硬直した。
「あいつ!俺より先に北海道に行きやがった。」
さっきまで部屋の中でランタンを灯して喜んでた僕が急に空しくなってきた。
「俺がこんなことしてる時にあいつは、あいつは、今ごろ北海道の大地に抱かれて眠っているなんて~!!くっそ~!!」・・・・
そんなこともあったのでこの今の北海道にいるという時間が僕にとってどれだけ待ち望んだことか。

そして今ようやくその憧れた大地で眠ろうとしている。
少し去年のことを思い出したが僕はそろそろ眠りにつこうとランタンを消し、テント内を真っ暗にしてシュラフ(寝袋)の中に入った。

「??????」

すると……
テントの壁の小さな穴に外からの光が入ってきてることに気付いた。

「ああ~テント破れとるなー。」

ほんの2~3mmだがテントの破れた箇所から外の光が入ってきていた。
僕はその破れ具合がどの程度なのか触って確かめてみた。

すると‥その瞬間、小さな光は床に落下するとともにポトッという音がした。

「え??まさか!破れてる穴が落ちた!?
そんなことあり得る?」

一瞬そう思った。
しかし落ちた光をよく見てみると、それは一匹の蛍だった。

いつの間に入ったのかは分からないが、たった一匹だけ僕のテント内で静かに光っていた。

北海道に来て第一日目の夜、そこに現れたのはささやかな光の訪問者、「蛍」だった。
初日の夜から貴重な経験をした僕はこれからの旅に期待を膨らませて眠りにつくのだった。

Vol.1 FIELD-03 Episode 1